避妊去勢手術について

避妊手術の目的は、犬で比較的多い子宮蓄膿症、卵胞嚢腫など、卵巣や子宮に発生する病気のリスクを事実上無くすこと、2回目の発情より以前に避妊手術をすることで、乳腺腫瘍のリスクを減少させることなどが挙げられます。

去勢手術は、肛門周囲腺腫瘍、会陰ヘルニアといった病気のリスクを減らすこと、ホルモン反応性の前立腺肥大(悪性の前立腺癌とは異なる)、精巣腫瘍などが生じないようにすることです。特に、潜在精巣(精巣が陰嚢に降りていない状態)の個体では、精巣腫瘍の発生率が高く、遺伝的な背景から繁殖に用いるべきではないことから、早期の去勢手術が望まれます。

一方、避妊・去勢手術は全身麻酔下で実施されます。ヒト医学と同様に、獣医領域においても100%安全な麻酔があるわけではなく、極めてまれですが、薬物に対するアレルギー反応やその他予期せぬ事態が生じることがあります。手術に関するリスクや合併症などについては、獣医師にお気軽にご相談ください。

ワクチン

犬:狂犬病ワクチンと混合ワクチンの2種類があります。

▼狂犬病ワクチン
特別な理由がない限り、1年1回必ず受けなければならない義務化されたワクチンです。

▼混合ワクチン
感染症の発症を抑える、あるいは、仮に感染して発症しても重篤にならないことを目的として接種される任意のワクチンです。ただし、混合ワクチンの対象となる感染症は、特に子犬など免疫力の弱い個体や予防していない個体に感染してしまうと死に至るものが多いため、確実な接種がすすめられます。
原則として、生まれて最初の年は2~3回、成犬では年1回の接種をおすすめしております。また、予防できる感染症の数によって何種類かのワクチンがあります。詳しくは獣医師にご相談ください。

猫:混合ワクチン

感染症の発症を抑える、あるいは、仮に発症しても重篤にならないようにするためのワクチンで、予防できる感染症の数によっていくつかの種類があります。特に、屋外へ出ていく猫は、野良猫との接触による感染のリスクが高まるため適切な接種が望まれます。
原則として、生まれて最初の年は2~3回、成猫では年1回の接種をおすすめしております。予防できる感染症の数によって何種類かのワクチンがあります。詳しくは獣医師にご相談ください。

*ワクチンの副作用
個体によっては、ワクチンに含まれる物質に対するアレルギー反応や血液の異常が生じることがあります。このような場合、迅速な対処が必要となりますので、接種後に様子がおかしい場合にはお早めにご連絡ください。当院では、午前の診療時間帯でのワクチン接種をおすすめしております。

わんちゃん・ねこちゃん年間スケジュール

フィラリア症

蚊を媒介して感染する寄生虫で、感染してしまうと完全に駆除することが難しい病気です。都市部だから感染するリスクがないということではなく、基本的にどの地域においても感染するリスクがある病気です。ただし、駆除薬(予防薬)を飲むことで予防できる感染症ですので、適切な時期に確実に投与することが重要です。当院では毎年5月~12月まで、月1回の投与をお薦めしています。

ノミ・マダニ

ノミやマダニは、あらゆる環境中に生育しているため、比較的容易に感染が成立します。これらは、咬傷、皮膚病、アレルギーの原因となるだけでなく、ノミやマダニが媒介する感染症に感染するリスクが高まるため、適切な時期に定期的な駆虫・予防が必要です。駆虫・予防薬には、皮膚につける液体の外用薬と錠剤の飲み薬がありますので、個体に合わせた薬剤の選択が可能です。