カテゴリー別アーカイブ: 外科診療

フェレットの扁平上皮癌

 

今回はフェレットの口唇部にできた扁平上皮癌につい紹介したいと思います。

左上顎に1センチ弱のできものがあるということで来院されました、もうすぐ5歳になる雌のフェレットです。

できものが炎症によって腫れているのか、それとも腫瘍なのかを細胞診によって判定するため、できものに細い針を挿して細胞を採取し、顕微鏡で細胞を観察しました。

確定診断を行うためにはできもの一部または全てを切除し、病理組織検査に出す必要がありますが、細胞診でも特徴的な細胞が観察される場合はできものの種類を予測することができます。

今回細胞診を行ったところ、形態異常を伴う扁平上皮細胞が多数観察され、扁平上皮癌が第一に考えられました。

そのため外科的に切除することになりました。

悪性の腫瘍の場合、腫瘍だけでなく、周囲の正常な組織も広範囲に切除する必要があります。

腫瘤を切除しました。

縫合後の写真です。

 

今回の症例は口唇部にできており広範囲な切除は難しく、一部しか取れない可能性も考えられました。

写真は切除した腫瘤です。病理組織検査に出したところ、扁平上皮癌と診断されました。

周囲の皮膚組織から癌細胞が観察されなかったため、腫瘍は完全に切除されたと思われます。

今後は継続的に観察し、再発に注意する必要があります。

 

 

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子宮蓄膿症

 

こんにちは。症例を紹介します。

2週間前くらいから生理で、ドロッとした膿のようなものが出てきたとの主訴で来院されました、8歳のフレンチブルドッグです。

血液検査、超音波検査所見及び未避妊雌であることから子宮蓄膿症が疑われ、緊急手術を行いました。

開腹すると、子宮は全体が腫大していました。

写真は摘出した卵巣及び子宮です。

子宮を切開すると中から多量の膿が出てきました。

病理組織検査に提出したところ、腫瘍性病変は認められず、摘出により良好な予後が期待されます。

子宮蓄膿症とは、子宮腔内に膿が貯まる疾患です。

その発症には雌性ホルモンの分泌が深く関与していると言われています。

ホルモンの影響受け、肥厚増殖した子宮内膜は細菌感染を起こしやすくなります。

したがって、長期間のホルモンの影響を繰り返し受けた高齢の未避妊の犬で多く発症します。

 

症状は、食欲不振、元気消失、発熱、多飲多尿、嘔吐などがみられます。

外陰部からの排膿も認められることがあります。

子宮内の細菌が産生する内毒素により重篤な状態になり、死に至ることもあります。

高齢で状態も悪いと麻酔、手術のリスクが高くなります。

子宮蓄膿症は避妊手術により防げる病気です。

若くて元気な時にはリスクが少なく手術が受けれます。

仔犬を迎えられた方には、1回目の発情が来る前の6ヶ月半から7ヶ月で避妊手術を行う事をお勧めしています。

 

 

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腸管内異物と膵炎

 

今回は症例の紹介です。

朝から嘔吐を繰り返し、息が荒く、足がもつれるとの事で来院されました、推定6歳の女の子のチワワについてです。

来院時の体温は40.1度、心拍数は180回/分でした。

血液検査を行ったところ、重度の脱水と膵臓の酵素上昇が認められました。

また、強い炎症も起きていました。

膵炎の影響で嘔吐を繰り返し、脱水したと考えられました。

そのため点滴を行い、脱水と膵炎の治療を開始しました。

徐々に元気を取り戻したためごはんをあげたところまた吐いてしまいました。

超音波検査及びレントゲン検査を行いました。

レントゲン造影検査では腸管の拡張がみられました。

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超音波検査では、陰影を伴う構造物がみられました。

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以上のことから腸管内異物が疑われ、開腹手術を行うことになりました。

開腹すると腸管内に異物を確認しました。

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また、腸管が広い範囲で壊死していました。

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壊死した腸管を切除しました。中からは梅干しの種が出てきました。

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術後、炎症が治るまでは絶食します。

長期の絶食により体内の蛋白質が低下したため、輸血をして補いました。

輸血の様子です。

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専用の機械と輸血用のチューブを使います。

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術後の経過は良好で、今後は膵炎の治療に専念します。

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